『奇跡のりんご』、読みました。無農薬りんごの誕生を夢見て、ついに現実のものとした津軽の男の話。ひたすらの、物狂いの、家族を巻き込んだ壮絶な半生から見えた世界は、虫と土と空と風が人とともにあり、リンゴとともにある、果てしないダイナミックな関係性の世界でした。存在は関係性の中にあり、境界はまぼろしのようだ。この人間の体自体が、外界と腸管の中で溶け合いながら連続してゆくことを思えば、なんとも不思議なこの命であることか。自己とはなにか。他とは誰のことか。まるで仏教の語りを聴いているような感触。
地域医療の中に、どうやら、同じようなものを感じている自分なのですが、こんな風に生きることは恐ろしい。せめて、自分の小ささや力のなさを素直に認めて歩いてゆこうと思う。関係性の風を感じながら歩いてゆこうと思う。miracle apples、どんな味がするのだろう。
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