臨床研修制度の内容は決して悪くない。ただ、その大きな目標となっている医師としての人格の涵養や学習を自発的に続ける能力の獲得といったところになると、これは、忙しい各科の現場ではなくて、むしろ大学でこそ系統だって学習するべきもののように思う。表題の本を読むと、かの国ではこれを卒前教育として地域中心で行っているようなのだ。医療制度等のお国の事情はあるのだけれど、膨大な情報の氾濫、医療の社会化、他職種とのチームワークなどが必須の現代で、医師として生涯発展するための能力をこの時期に、しかも地域という現場で獲得するというのは本当に重要だと深く思う。自治医大の卒業生たちが自前で獲得してきたことと同じ形であることにも驚きました。なんという教育システムだったことか!
研修制度のマイナーチェンジがあったけれど、大学教育との連動の必要性はあまり問題にされてないのだろうか?各科の技術は卒後の研修で、医師としての基本骨格(内容ではなくてその形)は大学で。多分それには従来の慣習を大きく変えなければならないし、母校自治医大もそれに気づかなければ、未来はないとも感じます。各地域にいる卒業生がいなければ、実は自治医大は普通の医学校の1つに過ぎませんからね。