2008年11月28日金曜日

自治医科大学の冒険その1

 自治医科大学という大学をご存じでしょうか。僕が卒業したのがすでに25年前のこの学校はへき地医療の確保をその使命として設立されたものです。各県から年に2−3名が選抜試験を経て入学し、医師国家試験はほぼ毎年100%の合格を誇ります。卒後の義務年限が9年あり、おもにへき地の医療機関でその時期を過ごします。もともと医師の少ない或いは医師のいない場所に赴任するわけですから、いくら若造でも、なんとなく感謝されてしまいます。もちろん率直に、”藪医者”と、言われたりもしましたっけ。
 そうそう、なぜ”冒険”なのか。まず、大学の教授陣たちの多くが東京大学の出身で、へき地或いは地域医療の主体的な経験がないということ(見学はしたことがあっても、そこに住みともに悩むという経験はないので、主体的とは言い難いですよね)。卒後の研修はすべて出身県の中核病院の先生方と卒業生そのものに(ほぼ)丸投げだったこと。それはまるで戦場で戦ったことのない教官が武器の使い方を本土で教えて、すぐさま前線に送り込んだような状態だったのでした。武器があれば、良いでしょ!・・・って、お〜い。
 彼らは戦えるのか?”基礎科学は教えた。あとは、現場でやってみてくれ”作戦。うーむ、大冒険だったと思うよ。地域医療を知らない教授に教えを受け、教え子は一人も学校に残らないという不思議な医学校の冒険はこうして始まったのでした。つづく。

0 件のコメント: