2010年7月7日水曜日

diagnosis shows the way

 以前にも診断は未来を動かすということをお話したことがある。新しい研修医の先生にPCMの意味と、それを構成する疾患、特に診断について説明していたのですが、あらためて診断の意味を確認するようでした。若い人が来ることでこのような根源的な話題を検討できるのは本当にありがたい。
 医学生時代に病気の勉強をし、その名前と病態を理解し暗記する。研修医となって実際の患者さんでそれを確認する作業が続く中で、いつしか診断とはその教科書にある当のものを現実にあてはめることであるという感覚になりがちでしょ?。特に初期の研修では病棟勤務が主体であって、受け持ちの患者さんはほぼ診断済みの人なので、診断より治療とそのための検査に意識は集中する。ちょうど失われたものを取り戻すような作業だね。
 一方、外来が主体のプライマリ・ケアでは診断は未定であって、そもそも各科に分かれた患者さんたちが自分の目の前に現れるわけではありません。不確定であり、変化は激しく不安定の状態で私たちにできることは、まずは緊急事態の除外であり、次いで病態の推定しそれを説明できる解剖部位の限定・時間の解析による病理変化の予測です。これらを診断名に翻訳して、初めて一般化されたものとして認識され、その予後や経過をかなりの確実性で予測できるようになります。
 未来予測のために診断をする、つまり診断をすることで未来が予測できるということろが本来の診断が持つ意味と力なのだと思います。そう、診断は暗がりの中に道を示すものだ。PCMと言っても、まず診断の精度がものをいうのは当然です。またそのための診断学を汎用診断理論と、大げさに名付けています。興味のある方は尾駮診療所まで。

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