2010年2月8日月曜日

generalist's lullaby

 関東の医学部から地域医療の研修に来てくれたある5年生との会話から。(地域医療に興味がある、とかわいらしくも言ってくれた彼に。)地域医療の専門或いは家庭医療、プライマリケア医、なんでも同じことなのだけれど、敢えてそれを専門ということに戸惑いがあったし、実際、一般の医師からみて地域医療で提供される医療内容そのものは地域医療に特有のものとは思えないものだったんだ。そう、全部各科の基本技術の寄せ集めだよ。僕自身もうんと長い間誤解していたのだけれど、generalistいう種族にはある端的な特徴があって、それこそがその専門性を保証する出発点なのだけれど、つまり、ものごとが患者さんから始まっているんだ。目の前に現れる患者さんたちが語るお話(病の物語といっても良いのだけれど)に対応することから全てが始まるのであって、自分ができることを提供するという一般の医師たちとは方向が逆転しているのさ。そしてバリエーション豊かな患者さんのお話に対応するのに必要なのは専一で高度な技術や知識(それは自由度の少ないものだ)ではなくて、物語を読み込む能力であったり、基本的な技術の無限の組み合わせであったり、流用であったり、時にはなにもしないこであったりするんだ。免疫応答のようだろ?多様のものには、単純なものの多様な組み合わせで対応するというのはとても現実的でもあるんだ。あるいは野生の思考とよばれるものだけれど、キミがこれを十分に論理的だと思えれば、キミはgeneralistだと言えるんだよ。
 訳わかんない?そりゃ、そうだよね。いつかまた僕の話を聞きに遊びにおいでよ。僕はずっとここにいるから。こんなお話をずっとしているから。

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