2010年2月26日金曜日

all that's narrative

 研修医のF君、診療所での研修お疲れ様でした。これが最終日ということで、どうしたら青森に、特に六ヶ所村に、医師を呼び寄せられるかという質問をF君にしてみました。青森は食が豊である、四季もはっきりしていて景色は美しく、各季節には特徴的なお祭りもある。人は純朴だし、女性は素直で優しい(人もいる)。それにF君が興味をいだく恐山はすぐそこだ。地域医療に興味もあるし雪にもなれている君だけれど、やっぱりそれでもここに来たいとは言わない?うーん。やっぱり。彼が挙げる理由は他の研修医の意見より正直だし、示唆に富むものだ。つまり、地域医療をやるのであれば多くの選択肢のあるフィールドの中で自分にとって一番有利なものを選べばよいのであって、ここである理由はない、ということ。うーん、そりゃ、そうだよね〜。自分で選べそうな気がするよね、普通。
 その後、人生の話になったり、専門性の話になったり、はたまた結婚の話になったりと酒の肴に話しはどんどん代わってゆくのだけれど、君と話しをしていてわかったことがある。僕の現在は僕が意図したものではまるでなかったということ。ある事態に対応したその後の有り様からみて、その事態とその後をつなぐ物語をこしらえつつ歩んできたのだなあ、という感慨にちょっと驚きました。ちょうど夢の生成過程と鏡面関係になったようなものだ。僕が果たして最初から六ヶ所村で地域医療や家庭医療を目指してきたなんていうのは僕を納得させる物語の1つなのであって、そんな事実はなかったのかもしれないと思うくらいだよ。
 大事なのはまずはその事態に対応することであって、理想をつくってから動くというのは現実的ではないのかもしれないよ。なかなか結婚しない人にもよくあるけれど、結婚してから結婚の意味がわかったりするもんなんだ。そこで、提案なんだけれど、とりあえず六ヶ所村で働いてみて、それから考えてみる、というのはどうだろう?恐山も近くにあることだし。だめ?

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