2009年12月5日土曜日

open the channel , catch the pace

 簡単なようで難しいコミュニケーション。診察室に入っていきなり演技的なほどの具合の悪さを発散させる人に、うまく同調できずにとげとげしい雰囲気になってしまうケースについての検討会の話。
 普段なにげなく行っている外来診療は、ほぼその全ての工程がコミュニケーションでなりたっているということを以前説明したと思う。ちょっと復習すると、外来診療の構造には3つのパターンがありA(acute)B(basic)C(chronic)に分けられる。このパターンを認識することで、今、自分が、何をしているのか或いはどんな方向を目指しているのかがわかるので、外来を始めたばかりの人たちには有用ということだったよね。しかし、だからといってよいコミュニケーションができるこのと保証にはなりません。物語をたどり、共感を得ることが重要というのは間違いではないのだけれど、多分もっと基本的で、考え方というよりは身体的な対応の仕方が大切だったのかもしれないんだ。
 会話は始めるには相手に、会話を始めてもらって良いというシグナルを送る必要があるので、例えば電話でも”もしもし”には”もしもし”だし、普段の会話でも”おはよう”には”おはよう”という具合に、今回のケースで言えば”具合の悪いことをおもいっきりアピールしている仕草”には”具合が本当に悪そうですね。”と返すことでコミュニケーションのchannelが開かれたかもしれないし、”早くなんとか処置を”というアップテンポの雰囲気にはアップテンポで対応するというのが良かったのかもしれないね。僕がうまくできるといっているわけでもないんだけれど、これはNLPという心理療法が教えるコミュニケーション技法の1つでもあるらしいんだ。もちろん診断をきちんとすることは重要なのだけれど、経験が教えるところでは、コミュニケーションエラーは診断を誤る大きな要因にもなっているのだからね。自戒の念をこめて。

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