2008年10月29日水曜日

魂の不滅について

 ”魂があるかだって?あるに決まっているじゃないか。”と語ったのは、小林秀雄だった。僕はそれに勇気づけられていたし、ほうらね、なんとなく皆んなが感じている通りだろーと、小林秀雄の言葉を魂の不滅に関する動かしがたい証拠のように感じてもいました。もちろん幽霊ではなくて、魂のことなのですが。
 昨日、佐賀の白浜雅司先生がなくなったと聞きました。昨年は田坂佳千先生が突然倒れられて家庭医療界に衝撃が走りました。白浜先生には一度だけお話をしてただいていますが、田坂先生とは全く面識もなく、田坂先生のメーリングリストを拝見するのみでした。二人とも影響力の強い方でした。家庭医療に魅せられた同じ年代の彼らの死を他人事ではないと感じるとともに、彼らの魂のことを考えていました。
 魂はそこにある。強く思う人とともにある。魂とは、強烈な感情をともなった関係性の記憶の別名であるから。関係性の記憶がなくなるまで魂は滅することはないと思います。まして言葉や書籍が残っていれば、受けとめられる人に、時代に関係なく、例え面識などなくても魂は訪れるに決まっています。彼ら2人に魅了された人たちともに魂は不滅でしょう。そう、思い出せばリアルによみがえるその言葉や態度は実在します。家庭医療をめざす人の傍らに、彼らはいつも、いつでもよみがえるでしょうね。

1 件のコメント:

bycomet さんのコメント...

 白浜先生の訃報は本当に驚きました。ご冥福をお祈り申し上げます。

 5月頃、雑誌に掲載させていただいた拙文に対して、白浜先生とメールでやりとりしたことを思い出します。「本来ならletter to editorでやりたかった」と前置きしながら、髄膜炎の症例に対して、離島やへき地では診断がつかないうちに治療をはじめることがあるが、それについてどう思うかといった内容のご意見でした。
 このような反応が読者から届くこと自体、非常に貴重な体験でしたが、それも白浜先生からであったことにたいへん嬉しく、勇気づけられたことを思い出します。
 全国放送された番組で紹介されたご自身の経験とオーバーラップした様子で、最後にはDVDまで送っていただきました。
 症例のひとつひとつに取り組む臨床医としての真摯な姿に感銘を受けたものです。

 五十嵐正紘先生も先日ご逝去されました。この業界では次々巨星が先立たれています。ライフワークバランスを考えなくては、と痛感します。