2008年10月11日土曜日

なにが分かっているの?

分かる、ということ。研修医の人たちと主に診断についてdiscussionしている時によく用いる言葉の1つに”分かる”があります。”分かっているの?”或いは”分かったかい?”などど。ひとしきりの説明の後では、”分かりました”と彼も言っているし、説明がよく分かったのだろうとこちらも満足したりします。しかし、どうも分かっていないことが、ままあるようなのです。
医師としてのトレーニングという観点からすると、”分かる=理解できる”、ではなく、”分かる=自分で分かる”、ということなのですが、うーん、ちょっと説明が難しなあ。例えば診療の現場で言えば、X線写真にある異常の説明を理解できても、同じ写真を1週間後に見ても自分で異常が指摘できない。分かるというのは、自分の頭の中にあるものと外のものを一致させた時の感覚なのであって、むしろ外側にあるものをみて思い出すようなものだと思います。つまり分かるためには、そのコアを自分の中に作らねばなりません。そのトレーニングこそが職業訓練の名にふさわしい。学生さんとの違いはこの辺にあるとも感じます。もちろん日常で用いる”分かる”という言葉の意味をそんなに問い詰める必要などないのだけれど、教育或いは自分が学習する場面などでは、注意しておいた方がよいかもしれないですね。自戒の念を込めて。

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