2008年9月9日火曜日

若い学習者へーきちんと間違うことー

外来で診察をするようになった君。君はなにより診断学を学ばなければならない。基本的な技術はもちろん必要だし、検査が不必要だとは口が裂けてもいわない。患者さんの気持ちに寄り添うこと、身だしなみに気をつけること、はきはきとした受け答えをすること、もちろん全部大切。しかしやはり、処方する薬の名前を覚えるよりも、検査のオーダーを出せるよりも、ちょっと専門用語を使って煙に巻くよりも、知らないことを知ったように言う言葉を覚えるよりも、まずは診断の方法を知る必要がある。例えばきちんと間違うということも、診断学の基本に沿わなければ到底できないことだ。そう、きちんと間違うことさえできないのだ。すべてが行き当たりばったりでは経験とは言えない。思い出にしかならないではないか。いくら難しい症例を総合病院で治療にあたった経験があっても、外来の診断をするには十分ではない。”それはクローン病ではありません”という診断名はない。
25年前の僕へ。君は勉強の仕方が間違っている。外来診療を中心にした場合、もっとも重要なのは診断学だ。それにそった学習の仕方が必要なのだ。仮説ー演繹;時間の解析・解剖の解析・病態生理ー実証の繰り返し、その精度を高めるための一連の行動をこそ医師の学習と言うのだ。反論はいろいろあるだろうけど、25年後の白髪の僕の話は伊達ではないぜ。

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