2009年5月22日金曜日

the reason why

 H大学医学生のI君との会話ー理由のある診療をするということは、とても大切なことなのだけれど、多分誤解することも多いこの言い方は少し説明が必要だと思うよ。もうすでにevidenceのことを考えたり、強固な医師の信念を思い描いたりしているでしょ?臨床的には、根拠(evidence)のあることと、それを実施する理由との間には相当大きな、そして決定的な隔たりがあるんだ。PCMではダンスとして例える当のものだし、構造構成主義的には信念対立に深く関係しているものだよ。
 頭痛の人が頭部CT検査を希望しているとして、僕らが科学的と言っている医学推論においては検査が不要だと考えるのは根拠のあることだと思うよね。そしてある医師は検査をしない。一方ある医師は検査をするんだ。それぞれの医師はそれぞれの理由で、検査をやったりやらなかったりするのだけれど、この最後の決断を決定づけるものはなんだい?医師と患者さんとの関係性の中にしか答えはないはずなんだ。患者さんのせいにしてはいけない。evidenceのせいにしてもいけない。その決定は、つまるところあなたがしているのだから、むしろあなたに理由があるのだ。あなたの価値観や人格や、感情や経験がそのままあらわれているところの理由ある診療ということだよ。すべてがキミ自身を表しているということなのだから、心しておこうね。(僕もね・・・)

0 件のコメント: