2008年5月8日木曜日

よい臨床医になりたいです

息を引き取った方、その周りに集まるご家族。50歳となり、僕自身の感情の動揺が大きくなっている。とてもとても若い医師のころ、疾患・病態の理解やそれに立ち向かうことの訓練に明け暮れていたころ、死に立ち会っても僕は本当に泣くなんてことはなかった。そうだ、医師は科学者なのだからいつも冷静にあるべきだ。感情的になってはいけない、となんとなく知ったような台詞をつぶやいてもいたが、真相は今にして思えば違っていた。僕は本当に悲しくなかったのだから。自分の冷淡さを、都合の良い、みるからに取って付けたような台詞で覆い隠していただけなのだと思う。この中年と呼ばれる年齢で、子供たちが成長し、妻と再び二人きりになり、お互いの老いと死を感じるようになり、尾駮沼の鳥に永遠の影を感じたり、星が瞬いたり、ロマンチックなんだか、センチメンタルなんだか、誇大妄想なんだか、馬鹿なんだか。これからもっと勉強して、良い臨床医になりたいです。

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