2008年1月26日土曜日

認知症をネットワーク障害としてとらえる

 先日、大雪の日に、薬剤メーカーのプロパーさんがアルツハイマー型認知症のテレビ講演会の案内を届けてくれた。その折NHKの認知症特番の話にもになって、相変わらず一般外来の診断を含めた対応能力の低さが問題になっていたのだと。さらに何時間かの講習を受けると、なんとか認定医になれるのだとか。ありゃまー。
 認知症は確かに病理変化が明らかになりつつある疾患ではあるけれど、現実のそれは家族を含めた地域社会の問題とし立ち現れるのだから、社会病理として捉える視点は非常に重要だと思います。
 具体的なイメージでとらえるために、人と人との間にある目に見えない紐で編みこまれた大きなネットを想像してみます。問題になっている人はその中央に位置しているとします。その重みが増すほどネットの中央がくぼみ、ネットの結び目にあたる各人の張力が強くなるのがわかります。ネットワークはひずみ、弱いところは切れてしまうでしょう。このネットワークの性質を知ることー強さや弱さ、隙間の大きさや広がりーなしに、個人に対応するのは難しい・・・。講習会で得た疾病の知識は、個別のネットワークの感触をえた上で利用されないならば、そもそも臨床医はいらないでしょう。駅の自動切符販売機のようなものがあれば良いだけですから。地域医療の重要な方法の一つは、この個別化されたネットワーク或いはフィールドの理解と運用にあることは間違いありません。

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